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読み聞かせしながら、考える。

読み聞かせボランティアで読んだ本の紹介と活動のなかで考えたことを綴ります。

春、一年生に読みたい絵本を探す

前回のエントリは80日前でした。

年度末の慌ただしい時間を抜けてやっと、少し心の余裕が出てきたところです。

 

新入学を控えている方もいらっしゃるかと。

我が家も末っ子と長男がそれぞれ小中への入学。

新しい生活の始まりに対応できるのか、ソワソワしているところです。

 

入学、GW、そして、読み聞かせの時間

各学校で違うと思うけれど、私の周りでは4月は何かと忙しいところが多いようで読み聞かせボランティがはいる時間ができるのは5月に入ってからの学校が多いのかなぁ。

 

一年生になって、いろんなオリエンテーリングを毎日毎日経験して、やっとちょっと学校生活に慣れてきたかと思ったらやってくるゴールデンウィークの連休。

読み聞かせの時間が始まるのはもしかしたら、休み明けにそれまでの数週間で詰め込んできた色々を思い出し思い出ししているちょっとあっぷあっぷな時期かもしれないなぁ。

 

さて、どんな絵本を読もう。

そんな、一年生への初めての読み聞かせの時間、今年担当させていただけるかはまだわからないけれど、そうなったら何を読もうかなぁ、というのは毎年ワクワクしながら準備しています。

 

本棚を眺めながら、さてどれがいいかなぁ。

 

「歯がぬけた」

歯がぬけた (わたしのえほん)

歯がぬけた (わたしのえほん)

 

私の中で低学年向けのテッパンになっているのが、中川ひろたかさんの「歯がぬけた」。

小4になる娘が入学する前に手に入れた絵本で、今も娘のお気に入りの一冊です。

 

入学前後はちょうど歯が抜け始める子が出てくる時期。

教室で読んでいると「ぼくも抜けたよ!」「私も!」と教えてくれたりします。

 

「サムとデイブ、あなをほる」 

サムとデイブ、あなをほる

サムとデイブ、あなをほる

 

こちらも低学年のテッパン。

この絵本を読むと、クラスの中で元気のいい子、グイグイ食い込んでくる子がどの子か大体見えてきます。

 

「どうぞのいす」

どうぞのいす (ひさかた絵本傑作集)

どうぞのいす (ひさかた絵本傑作集)

 

どんぐりや栗が出てくるから、季節としては秋の物語なのかしら、とは思うのだけれど、お昼寝をしてしまうロバさんの気持ち良さそうな様子は春っぽいなぁと勝手に思っている絵本です。

 

お話としてはもうちょっと幼い子向けではあるのかもしれないけれど「あとのひとにおきのどく」と自分の後から来る人に思いを馳せる、一年生にとって大事な気持ちが描かれている絵本かなと思います。

 

11ぴきのねこ ふくろのなか」

11ぴきのねこふくろのなか

11ぴきのねこふくろのなか

 

我が家の三男坊が大好きな11ぴきのねこシリーズ。

その中でもこの季節にぴったりなのが「ふくろのなか」。

春の遠足を終えたであろう子供たちとどうだった?ってお話をしながらねこたちの遠足のお話を。

お花畑や木の上でのお弁当、そして…

楽しい遠足から一転、袋の中にとらわれたねこたちがどうなるのか、最後まで楽しい一冊。

 

 

最後におまけ

「すずこ」という絵本と出会いました。

すずこ

すずこ

 

本屋さんで見つけて迷わず手に取りました。

主人公すずこが春の1日に経験した不思議なお話。

タイトルにつられて買いましたが、石川さんの絵が春の柔らかい雰囲気にぴったり。

 

石川えりこさんの絵本

読み聞かせにはちょっと長いのとテーマが重いので向かないかもしれませんが、石川えりこさんの本はこれが特にオススメです。

ボタ山であそんだころ (日本傑作絵本シリーズ)

ボタ山であそんだころ (日本傑作絵本シリーズ)

 

モノトーンで描かれた炭鉱の町の様子、真っ黒な川、その周りで生きているたくさんの人の姿とそれぞれの思い、鳥肌が立つほどに細かく描き込まれた絵が続く、傑作です。

原画展、行きたかったなぁ…

 

てんきのいい日はつくしとり (福音館創作童話シリーズ)

てんきのいい日はつくしとり (福音館創作童話シリーズ)

 

こちらも春らしい私の好きな一冊。

ジャンルとしては児童書ですね、中学年〜の読書にオススメです。

読むと、つくしが食べたくなります(笑)

酉年なので、とりの絵本を楽しむ

遅ればせながら、こちらでも明けましておめでとうございます。

今日は新年最初の読み聞かせの時間で、酉年だけに、ということでこちらを。

とりになった きょうりゅうのはなし (かがくのとも絵本)

とりになった きょうりゅうのはなし (かがくのとも絵本)

 

 6500万年前には絶滅してしまっていたというのが定説だった恐竜。

今の小学生の多くもそう思っている様子ですが、最近では一部は生き残り鳥類に進化していると考えられています。それについて平易な言葉で解説した科学絵本。

低学年から高学年まで幅広い年齢に使える絵本だと思います。

 

今日は、読む前に恐竜がいつ頃絶滅したと思うかを子供たちに尋ねてみたり、大量絶滅の原因は隕石の落下があったのではないかというお話などをチラッと。

 

大量絶滅の原因には諸説あります、この諸説あるということも忘れずに。

 

そして読み終わった後には時間があれば絵本の中に出てきた鳥類のお話をすることもあります。

 

オシドリ

鳥の鳴き声3 カモの仲間

絵本の中で美しい羽毛を持つ鳥として紹介されているオシドリ、これが近隣ではどの辺りで観察できるかを知っておくと子供たちにお知らせすることもできると思います。

移動する水鳥で寒い時期には日本全国で見られるようです。

BIRD FAN (日本野鳥の会) | オシドリ

 

ヒクイドリ

この本に興味をもった子にぜひ見てほしいのが、ヒクイドリです。

5638ヒクイドリのティンサイン 金属看板 ポスター / Tin Sign Metal Poster of Cassowary 5638

ヒクイドリ - Wikipedia

脚やつま先、色、目、くちばし…恐竜の子孫、というのを肌で感じることのできる姿形をしています。

世界一危険な鳥としてギネス登録されるほど。国内での飼育にも色々な規制がかかっていて、国内のいくつかの動物園で厳重なオリの向こうにいる姿を見ることができます。

 

興味を持った子が見に行くチャンスを作れるように、直近の施設を調べておくことをお勧めします。

cassowary.blog.shinobi.jp

↑こちらから施設が確認できます。

九州の方はぜひとも福岡県久留米市の鳥類センターへ。

大人250円、子供は土曜日は無料という破格の料金設定ですごい数の鳥類に出会えるファンタスティックな国内唯一の鳥類専門の動物園です。

 

おわりに

絵本の読み聞かせ、というと本を読んで終わり、というケースも多いと思いますが、それだけではもったいない!といつも小ネタを仕込んで教室に向かっています。

本から新しい体験につなげたり、また新しい体験から新しい本への出会いにつなげたり、いろんな経験が本を通して繋がって行くといいなぁ、と思ったりしています。

 

おまけ

表題でとりの絵本と書いておいて1冊しか紹介しないのもなんなので、いくつか紹介します。

野鳥マニアとして忘れたくない作家さんは、鈴木まもるさんですね。 

ぼくの鳥の巣絵日記

ぼくの鳥の巣絵日記

 
鳥の巣の本 (絵本図鑑シリーズ)

鳥の巣の本 (絵本図鑑シリーズ)

 

 鳥の巣に特化した本をいくつも出されている方です。

子供と一緒に読んで、公園や街中の鳥の巣を探すのも楽しい。

 

 

いのちの ふね (講談社の創作絵本)

いのちの ふね (講談社の創作絵本)

 

 

ツバメのたび―5000キロのかなたから

ツバメのたび―5000キロのかなたから

 

 

おじいさんとヤマガラ―3月11日のあとで

おじいさんとヤマガラ―3月11日のあとで

 

 鈴木さんの作品には鳥がメインになっているお話の絵本もあります。

鳥の絵がとても丁寧に描かれている美しい絵本、うっとりします。

 

私が好きな作家さんの中の鳥メインだとこれもありますね。

でんごんでーす (講談社の翻訳絵本)

でんごんでーす (講談社の翻訳絵本)

 

 

昔話にも鳥が取り扱われているものは多いですねえ。

したきりすずめ (日本傑作絵本シリーズ)

したきりすずめ (日本傑作絵本シリーズ)

 

 

ききみみずきん (岩波の子どもの本 (18))

ききみみずきん (岩波の子どもの本 (18))

 

 

みにくいあひるの子 (アンデルセンの絵本)

みにくいあひるの子 (アンデルセンの絵本)

 

(これは「魔女の宅急便」の角野栄子さんの文章、 美しい絵と合わせて、お勧めな一作です。教室でも子供達に「魔女の宅急便の…」というとそれだけで興味を持ってくれたりしますね。)

昔話、もう聞き飽きてるだろうと思ったら逆なんですよね。

今の子たちは新しい絵本をたくさん読んでもらっている反面、私たちが親しんでた昔話をあまり知らなかったりします。

読み聞かせでお邪魔している学校の図書室でも、最近新しい昔話の絵本を入れてコーナーを作ったら子供たちに人気なんだそうです。

 

今年もこんな感じでぼちぼちと本のことを色々書いていけたらと思っています。

よろしくお付き合いくださいませ。

漫画家こうの史代さんの絵本

絵本の読み聞かせボランティアを始めてから、以前より頻繁に図書館に行くようになりました。手持ちの本を使うことも多いのですが、季節を選ぶものやなかなか自分で買えないもの、書店で探しきれないものが図書館にはたくさん眠っているのでそれを発掘しに行くのも一つの楽しみです。

 

図書館から借りてきた本だと子供たちの食いつきがよかったときに「あそこの図書館にあるよ」と教えることができるという利点もあります。

 

偶然の出会い

最近は手持ちの本ばっかりでマンネリ化してるな〜と先日子供を連れて行った図書館であれこれと絵本の棚を見回しているとき、背表紙にこのコーナーでは見慣れない名前を見つけました。

 

こうの史代 絵」

 

こうの史代

 

大好きな作家さんや漫画家さんはたくさんいるのですが、その中でも漫画家のこうの史代さんは新刊が出れば必ず手に入れる方の1人。

 

最近では「この世界の片隅に」がアニメ映画化されたことでその絵とお名前がさらにお茶の間に広まったのではないかと思います。

私も原作が大好きでセリフを覚えるほど何度も読んだほど。クラウドファンディングの支援者の一人として作品に関わることができてとても光栄に思ってます。

 

こうのさんの絵本

さて私が出会ったこうのさんの絵本が、これ。

『「あ・そ・ぼ」やで!』

「あ・そ・ぼ」やで!

「あ・そ・ぼ」やで!

 

表紙の絵の男の子と女の子、やんわりとした色合い、こうのさんだ〜〜〜!!と思わず嬉しくなって早速借りて帰り、家で子供たちと、また低学年のクラスの読み聞かせに、と使いました。

 

コテコテの関西弁の教室に馴染めない転校生の女の子と、それを助ける優しい男の子。ストーリーそのものは道徳的な要素を含んだ感じの普段私があまり選ばない系の絵本でやや長めではありましたが、こうのさんの優しい絵柄やところどころに出てくる関西弁のテンポ、子供の心の変化の様子が丁寧に描写されているところなどに子供たちも飽きずに一生懸命聴いてくれました。

 

作者くすのきさんの絵本

この絵本の作者のくすのきしげのりさん。

「おこだでませんように」が一番有名でしょうか。

おこだでませんように

おこだでませんように

 

「ええことするのは、ええもんや!」や「ぼくのジィちゃん」「ともだちやもんな、僕ら」などともだちや家族関係のちょっといい話的な絵本が多い作家さんです。

 

ええことするのは、ええもんや!

ええことするのは、ええもんや!

 

 

ぼくのジィちゃん

ぼくのジィちゃん

 

 

ともだちやもんな、ぼくら

ともだちやもんな、ぼくら

 

 

道徳的な内容が多いですが、関西弁でテンポよく言葉が綴られていくので読んでいて気持ちのいい作家さんの一人です。

 

関西弁での読み聞かせ

話はちょっとずれますが、関西弁の絵本を読むときいつも、どの程度なまらせるかは結構悩みます。

大阪にしばらく住んでいたのでそれっぽい関西弁のイントネーションで読むことはできる、でも方言の違うこの辺りではあまりコテコテにしてしまうとお話の内容より耳慣れないその関西弁により子供たちの意識が集中してしまわないかな?と心配になるのです。

 

『「あ・そ・ぼ」やで!』は主人公の女の子の語りとセリフが標準語なので、違う地方の言葉だということがわかるように少しなまらせる程度に留めました。

 

長谷川義史さんの絵本なんか読む時も悩みますね…

「たこやきのたこさぶろう」はコッテコテの大阪のお話なのでこれはもう思いきって吉本新喜劇ばりに演じてみることも。

 

たこやきのたこさぶろう: ぴっかぴかえほん

たこやきのたこさぶろう: ぴっかぴかえほん

 

 

「どこいったん」みたいにシュールな絵本をゆっくり丁寧にイントネーションをつけて読むのも、じわじわきて好きです。 

どこいったん

どこいったん

 

 

長谷川さんの最近のお気に入りはこれ。

まわるおすし

まわるおすし

 

 お給料日には回るお寿司を食べに行こう!という、ただただそれだけの家族のお話です。

ただただそれだけのことなのだけど、なんか、良いのです。

 

おわりに

こうのさんのえほんの話からどんどんずれてしまったので話を元に戻すと、私がこうの史代さんが大好きだということと、「この世界の片隅に」をみなさん是非劇場へ観にいってくださいね、お誘い合わせのうえ!というのを伝えたくて書いたブログでした。おしまい。

 

konosekai.jp

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

 
この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)

 
この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

 

 

失言、失策、場を作るむずかしさ。

お久しぶりの更新です、前回から半月以上あいてしまいました。

最初は子供の通う学校だけだった読み聞かせボランティアですが、手が足りない学校も多くてあちこちからヘルプの声が飛んできて、気付けばおつきあいのある学校が4校に増えていました、自分でもびっくりです。

 

週1回のところもあれば月に1〜2回のところもありで今のところなんとか無理のない範囲でお手伝いできています。

 

さて今日は、先日1年生の教室で私がやらかしてしまった失敗のこと。

 

「姿勢、いいね」

今年度初めて入るクラスでした。

元気のいい1年生、大きな声で挨拶をしてくれて、教室に余裕があったので前の方に椅子を持って来たい子はどうぞ、と声をかけ移動してもらった後のこと。

 

一番前に陣取っていた女の子がとても姿勢がよかったのでつい

「あ、姿勢、いいね」

と声をかけました。

 

照れ臭そうに笑う女の子、私もつられて笑って、絵本の説明に入りました。

 

読み初めて気づいた、異変

最初の1冊を読み始めて少ししたころ、ふと違和感を覚えました。

目の前の例の女の子、表情が硬い。少ししてわかりました。一生懸命背筋を伸ばし、それを保とうとしていたんです。

 

しまった!

 

と思いました。

 

痛恨の失敗

私がうっかりかけてしまった声のせいで、せっかくの絵本の時間に「姿勢が良い自分を保つ」ことに意識を集中させてしまった。

 

痛恨のミスです。

ほめたことが結果的に裏目に出てしまいました。

 

これはいかん、とその子の集中が背筋から離れるように、と2冊目の前に少し雑談を交えてその子にも声をかけ、なんとか切り替えてくれて一安心して最後まで読み進めることができました。

 

「絵本のための時間」だけど

こんな風に、大人の働きかけ方次第で絵本読みの時間がガラッと空気を変えてしまうことは割とよくあります。

 

先生がきた!

一番わかりやすいのが途中で担任の先生がはいってくること。

それまで純粋に絵本を楽しんでいた空気が一転して「先生に叱られないようお行儀をよくしないと」という空気が教室を巡ることがあります。

 

感想の時間

もう一つよくあるのが、感想の時間があると事前にわかっているケース。

担任の先生や学校の方針などによって違うのかな、発端はよくわかりませんがなぜか読後に児童が挙手をしたり先生が名指ししたりして感想を言わせる教室に遭遇することがあります。

 

その感想の時間が用意されていると子どもたちが聴きながら一生懸命「何を言おうか」って考えてるのが表情からわかることがあるんですね。

 

大人が喜ぶ回答をしようとして必死に考えてくれる。

絵本や本の中身から、おぉ!って大人が思うような要素を一生懸命探そうとしてる様子が見て取れて、あぁもったいない…とモヤモヤしてしまうことがあります。

 

純粋に絵本を楽しんでほしいから

いろんな学校を巡りながら、教室の子どもたちの中には「ほめられる」ことがすごく大きな意味を持つタイプの子がいるのかも、というのが少し見えてきました。

 

感想を言って大人に喜んでもらう、ほめられる、という経験、姿勢を褒められて嬉しい頑張ろうと思う気持ち、それそのものを否定することはできません。その子たちにとって必要な栄養素みたいなものなのだろうとも思う。

 

でも、読み聞かせの時間にはそれはなるべく持ち込みたくないなぁ、と思うのです。

 

なにかに囚われて、めのまえの絵本そのものが楽しめなくなってしまっては意味がないんじゃないかなぁと。

 

しつけやお行儀の指導や自己肯定感の向上を含む子どもたちそれぞれへのケアはその場限りのボランティアの私たちが背負うにはちょっと荷が重いお仕事だし、役割と違う。

 

私が教室に行くのは、やっぱり絵本を楽しむ時間を提供したいから。

だからなるべく、それが叶う環境づくりを念頭におかねばならないなぁと。

一言の失言で1人の子が絵本を楽しめなくなっちゃうのは、やっぱりもったいない。

 

さて明日の読み聞かせの時間には何を持って行こうかなぁ…

6年生の教室、選書は高学年になればなるほどむずかしい。

クリスマスの本にするか、卒業を視野に入れたものにするか、いっそ落語とか笑えるやつにするか…

 

そういえば。

自他共に認めるヨシタケ信者の私、新刊が出ると聞いてワクワクしています。

なつみはなんにでもなれる

なつみはなんにでもなれる

 

 

ジョン・バーニンガムさんの絵本

読み聞かせボランティアをやっていてあちこちの方と知り合いになっていくと、普段通っている小学校以外のところから「ちょっと来られない?」というヘルプのお声が時折かかります。

 

別の小学校の朝の読み聞かせの時間だったり、公民館や図書館の絵本読みの日だったり、何かのイベントの出し物のお手伝いだったり。

 

今朝も、全校の教室に一斉に読み聞かせボランティアを入れたいけど人手が足りない、というご連絡をいただき急遽ちょっと離れた小学校に駆けつけてきました。

 

そうやって近隣のいくつかの学校に通っていて気づいたのだけれど、玄関を入ったところですぐに、学校によって全然違う雰囲気や空気を感じるんですね。

 

ピンと張りつめた空気を感じる学校もあれば、柔らかい雰囲気が漂っている学校もある。先生方の声がどんなふうに聴こえてくるか、廊下ですれちがう子供たちがどんな表情をしているか、挨拶の声、歩き方…

 

面白いのは、校長先生が交替するとその雰囲気が突然変わることがあること。

それくらい、学校のトップである校長という立場が学校全体に与える影響は大きいんだろうなぁと思ったりします。

 

先生方のスペースから子供たちのいる教室に向かって、入り口に立つと、クラスごとの雰囲気もまた感じます。それを感じながら、今日はどの本を読もうかな、と考えます。静かに聴かせるものがよいか、突っ込みを入れる系のを楽しめそうか…

 

突っ込み系の本で好きなのがジョン・バーニンガムさんの「ねえ、どれが いい?」

ねえ、どれが いい? (児童図書館・絵本の部屋)

ねえ、どれが いい? (児童図書館・絵本の部屋)

 

 選択肢を提示して子供たちから返事をもらいながら進めていく絵本。

ストーリーが最初から最後へと繋がっている種類の本ではないので、時間がちょっと余ったときの穴埋めにも便利。

 

今日教室で読んだのは同じジョン・バーニンガムさんの「いつもちこくのおとこのこ ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー

 

これ、なかなか出会えない「小学校の全学年に持っていける絵本」だと思います。

低学年には突拍子もない事件に出会うところを楽しんでもらえる。

高学年には、先生や大人に対する理不尽や不満に共感するような内容として。

大人向けにも、理不尽に抗わず静かに絵本のなかにたたずむジョンの姿がじわりと心に残る内容です。

 

ジョン・バーニンガムさんの絵本、柔らかいイラストと押し付けがましくないけどふわっと琴線に触れるような内容がとても好き。

年月を超えて、いろんなタイミングで読んではそのときどきの感じ方ができる絵本が多いんじゃないかな、と思います。

 

おじいちゃん (海外秀作絵本)

おじいちゃん (海外秀作絵本)

 

 も有名な一冊ですよね。

「いつもちこくのおとこのこ〜」もそうですが、谷川俊太郎さんの訳も詩人さんらしい耳障りのよい日本語で、声に出して読むのが心地よい。

 

谷川さんといえばえこ (id:bambi_eco1020)さんが紹介されていた「これはすいへいせん」をやっとこ手に入れました。

先日5年生の教室で出したら「のみのぴこみたい!」と反応した子たちが。

これはのみのぴこ

これはのみのぴこ

 

つみあげうたの最後にぐるりと回る不思議な感じが大好きです。

 

ジョン・バーにガムさんの絵本のリンクを貼ろうと検索していたら見つけたこの絵本、タイトルと表紙だけでかなり気になってます。

エドワルド―せかいでいちばんおぞましいおとこのこ

エドワルド―せかいでいちばんおぞましいおとこのこ

 

 

ヨシタケシンスケさんの哲学シリーズを力技で読み聞かせに使う。

いやはや、久しぶりにこちらのブログを覗いてみたら3ヶ月も放置していました。

夏休みと運動会シーズンでどの学校でも絵本読みの時間がなく、行事続きで私自身も絵本から離れる時間が多い時期でもありました。

 

今日は、久しぶりの読み聞かせの時間で使ったヨシタケシンスケさんの本のこと。

 

ヨシタケさんの哲学シリーズ

新刊が出たら即買うほどのヨシタケファンを自称する私ですが、読み聞かせの時間によく使うのは読みやすい「もうぬげない」や「りゆうがあります」ばかり。

哲学シリーズ(と私が勝手に呼んでいる)の3冊は、なかなか教室での読み聞かせには使っていません。なぜなら、とても読みづらいから。

 

りんごかもしれない

りんごかもしれない

 

 絵本界に新風を巻き起こした(と私が勝手に思っている)この名著「りんごかもしれない」、平易な言葉と身近なりんごという素材を使っているのにどこまでも深い考察がこめられ、何度も繰り返し読みたくなってしまう一冊です。

 

そしてこれに追随する形で発売されたのが2冊目の「ぼくのニセモノをつくるには」

ぼくのニセモノをつくるには
 

 

先日メインブログ「スズコ、考える」でも紹介しました。

 

当たり前に把握しているようで実はあまりわかっていない、自分自身のこと。

それを言葉にしていく、振り返っていく、その過程について考えていく絵本です。

 

そして満を持して発売された3冊目が「このあとどうしちゃおう」

このあと どうしちゃおう

このあと どうしちゃおう

 

 私が先日教室に持っていった本です。

亡くなったおじいちゃんが遺した一冊のノートから、死ぬとは、生きるとは、と考えていく絵本です。

 

3冊とも、深い。とにかく深い。

でもタッチはとても軽い。

深刻に考え込むような内容のはずなのに、子供が笑いながら読めてしまう手軽さ。

 

響く子には響くし、そうでない子にも面白い本として楽しめる。そんな、多数向けの読み聞かせに必要な要素があるこの絵本を教室でも子供たちに紹介したい、と常々思っていました。

 

なぜ、読み聞かせが難しいのか

この3冊、自分で読むなら小学校低学年から高学年まで楽しめると思います。

学校の図書館に揃えているところも多いのではないかな。可愛いイラストで子供たちにも人気だと思います。教室に持っていくと「知ってる」と手を上げる子が半数くらいいるクラスもあるほど。

 

でも読み聞かせに使うには本当に難しい。

その理由は、文章ではない手書きの文字の多さです。

 

「りんごかもしれない」には「りんご」の近縁ではないかという設定で作者が想定した色々なりんごっぽいものが描かれ、それぞれに違う名前が付けられています。そのページの内容をしっかり説明するような文章は用意されていません。

 

「ぼくのニセモノをつくるには」にも「このあとどうしちゃおう」にも、同じようにぼくを説明するために箇条書きにされている部分やおじいちゃんが天国について想像したいろいろな可能性について、文章ではなく、小さめのイラストとそれぞれの名前や短い説明が添えられています。

 

全部読めない・全部見えない

限られた絵本読みの時間に、それぞれに書かれている文字を全部読むのはまず無理です。

そして、それをもし実行しても、絵の細部まで見えない子供たちにとってはつまらない時間にしかなりません。どこを指しているかもわからない状態で単語だけを言われてもわけがわからないでしょうから。

 

 

じゃあどうしちゃおう

考えました。どうしたら教室で楽しんでもらえるか。

3冊とも、前後には文章がメインのページが続いています。そこはそれを読めばいい。

問題は中盤の、ぼくやおじいちゃんたちが想像するあれこれを紹介する数ページです。

 

私が出した答えは、抜粋。

たくさんある中の、絵が大きめのいくつかを選んで、その部分だけを読む方法をとりました。そこだけ読んでも意味が分かりにくいので、「このあとどうしちゃおう」のおじいちゃんが想像した天国の部分だと「○○○『っておじいちゃんは想像してたみたい』」とか「○○○『とか思ったりしたんだね』」と子供たちに意味が伝わるように言葉を補っていきました。

 

「りんごかもしれない」はりんごの親戚紹介のページは絵が小さいので、黒板を使える教室ならいくつか抜粋して絵を描いちゃうのもありだなぁと考えています。

 

忘れちゃいけない、大事なこと。

全部は読めない、だからこそ興味を持った子には再度自分で手に取ってほしい。

学校の図書室にあるのか、地域の図書館にあるのか、事前にしらべて置いてどこに行けば読むことができるのかを知らせておけば興味ある子は自分で細部まで楽しめるんじゃないかな、と思います。

 

おまけ

この3冊を教室で読むのはちょっと難しいけど、

 

もう ぬげない

もう ぬげない

 

 

こちらの3冊は書いてある文章を読むのがメインなので教室でも読みやすいと思います。

特に「もうぬげない」は低学年から高学年まで、どこに持っていっても子供たちが喜ぶし、3分くらいで読めるので読み聞かせ用のバッグにいつも入れている1冊です。

サトシンさんという絵本作家さん

絵本作家のサトシンさん、といってもピンと来ない方も「『うんこ!』の作家さん」と言えばみなさん「あ〜〜〜〜」と仰います。このブログでもサトシンさんの『ま、いっか!』を紹介したことがありました。

 

うんこ!

うんこ!

 

 (読み聞かせに持っていくと必ずウケる絵本「うんこ!」低学年の男子はかなりの確率で「くっそーーー!」って一緒に言ってくれます。)

 

そのサトシンさんが先月、熊本震災被災地を巡る弾丸ツアーを敢行され、一日に何か所も回るなかの1ヶ所に子供たちを連れて参加してきました。

 

作品を読んでくださったり、それぞれの絵本についての解説や裏話を聴かせてくださったりと楽しい時間を過ごすことができました。子供たちもまだ読んでいない絵本を読み聞かせてもらったり、持参した絵本にサインをいただいたり、サトシンさんの持参されていたうんこ帽子を被って写真を撮ったり、サトシンワールドに魅了された数時間でした。

 

お話の中で、私がサトシンさんの絵本でなんかいいなぁと思っていたことをまさにご本人が仰っていたんです。結末があってちゃんとお話が終わってるんじゃなくてただおもしろいだけで終わる絵本があってもいいんじゃないの?って。大人が意図する終着点がない絵本が結構多いんです、サトシンさんの絵本。

 

子ども向けの絵本って教訓めいたお話だったり、こういうメッセージを受け取ってほしいなぁという大人側の下心が見え隠れするものだったりするの、結構多いなぁと思うんですね。指導のためにそれらを「あえて」読み聞かせること自体を否定するつもりは全然無くて、敷居の低いものを利用してメッセージを伝えやすくするためのツールとしての絵本というのも一つのあり方だと思う。

 

でもそういう結論ありきみたいな絵本ばっかりだとつまんないなぁ、と思っていた私にとってサトシンさんの、ただただおもしろいだけで本当におわっちゃう絵本の存在ってとても新鮮でした。

 

ただ新鮮だっただけじゃなくて、小さい頃に絵本を楽しんでいたときのような、一部に強烈な印象を持って何度も読んでいたりというような、絵本の持つメッセージ性ガン無視でただただ絵本を楽しめば良いと言ってくれているような絵本、それがサトシンさんの作品の中にはあるような気がします。

 

今日はそのなかで読み聞かせに使いやすそうな絵本をご紹介。

いぬが かいたかったのね

いぬが かいたかったのね

 

 まずはこれ「いぬがかいたかったのね」

「ツレがウツになりました」の細川貂々さんのイラストがかわいい絵本。

わらしべ長者のようにペットをだんだんととりかえっこしていって、最後には…

 

ページをめくるたびに新しい生き物が登場して、そしてだんだんエスカレートしていって、子どもたちがどんどん世界観に吸い込まれていくような絵本です。

 

テンポがいいといえばこちらも。「うそだぁ!」

うそだぁ!

うそだぁ!

 

 ほら吹きの男の子のうそがどんどんエスカレートしていく絵本、合いの手をいれるもう1人の男の子の「うそだぁ!」っていう台詞を一緒に言って〜って促すとみんな喜んで参加してくれます、こちらも低学年向けに好評な絵本。

 

最後はちょっと例外。結論っぽい絵はあるんだけど、触れられていない絵本。

ゆけ! ウチロボ! (講談社の創作絵本)

ゆけ! ウチロボ! (講談社の創作絵本)

 

「ゆけ!ウチロボ!」

こちらは少し年齢が上がった学年の子たちにも良さそうかなと思います。先日は5年生の教室で読みました。

男の子同士のケンカについてのお話。ひそひそ話の感じとか教室の雰囲気のリアリティがすごいなぁと思います。

 

この絵本、結末は絵本の中では語られていません。余韻を残した、ちょっとカッコいい映画のような最後のページの絵、ポスターにして飾りたいなぁとこっそり思うほど好きです。ちなみに絵を担当したのは『給食番長』のよしながこうたくさん。

給食番長 (給食番長シリーズ)

給食番長 (給食番長シリーズ)

 

 

よしながさんとサトシンさんのタッグは『でんせつのきょだいあんまんをはこべ』も名作ですね。 

でんせつの きょだいあんまんを はこべ (講談社の創作絵本)

でんせつの きょだいあんまんを はこべ (講談社の創作絵本)

 

 BGMに「地上の星」を流しながら読みたくなる一冊です。

こちらはオチはちゃんとあります、が教訓めいたメッセージ性はゼロです 笑

最後のページに添えられた註釈がサトシンさんの人間性が出てるな〜って感じがして好きです。

 

さいごにおまけ。

サトシンさん、NHKの「みいつけた」の中の「おてて絵本」を提唱されているご本人でもありました。あの放送でも流れていないところでサトシンさんご本人が子どもたちのそばでおはなしを引き出す声かけをされているんだそうです、知らなかった〜!

おてて絵本普及協会

きいてね!おてて絵本

きいてね!おてて絵本