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読み聞かせしながら、考える。

読み聞かせボランティアで読んだ本の紹介と活動のなかで考えたことを綴ります。

失言、失策、場を作るむずかしさ。

お久しぶりの更新です、前回から半月以上あいてしまいました。

最初は子供の通う学校だけだった読み聞かせボランティアですが、手が足りない学校も多くてあちこちからヘルプの声が飛んできて、気付けばおつきあいのある学校が4校に増えていました、自分でもびっくりです。

 

週1回のところもあれば月に1〜2回のところもありで今のところなんとか無理のない範囲でお手伝いできています。

 

さて今日は、先日1年生の教室で私がやらかしてしまった失敗のこと。

 

「姿勢、いいね」

今年度初めて入るクラスでした。

元気のいい1年生、大きな声で挨拶をしてくれて、教室に余裕があったので前の方に椅子を持って来たい子はどうぞ、と声をかけ移動してもらった後のこと。

 

一番前に陣取っていた女の子がとても姿勢がよかったのでつい

「あ、姿勢、いいね」

と声をかけました。

 

照れ臭そうに笑う女の子、私もつられて笑って、絵本の説明に入りました。

 

読み初めて気づいた、異変

最初の1冊を読み始めて少ししたころ、ふと違和感を覚えました。

目の前の例の女の子、表情が硬い。少ししてわかりました。一生懸命背筋を伸ばし、それを保とうとしていたんです。

 

しまった!

 

と思いました。

 

痛恨の失敗

私がうっかりかけてしまった声のせいで、せっかくの絵本の時間に「姿勢が良い自分を保つ」ことに意識を集中させてしまった。

 

痛恨のミスです。

ほめたことが結果的に裏目に出てしまいました。

 

これはいかん、とその子の集中が背筋から離れるように、と2冊目の前に少し雑談を交えてその子にも声をかけ、なんとか切り替えてくれて一安心して最後まで読み進めることができました。

 

「絵本のための時間」だけど

こんな風に、大人の働きかけ方次第で絵本読みの時間がガラッと空気を変えてしまうことは割とよくあります。

 

先生がきた!

一番わかりやすいのが途中で担任の先生がはいってくること。

それまで純粋に絵本を楽しんでいた空気が一転して「先生に叱られないようお行儀をよくしないと」という空気が教室を巡ることがあります。

 

感想の時間

もう一つよくあるのが、感想の時間があると事前にわかっているケース。

担任の先生や学校の方針などによって違うのかな、発端はよくわかりませんがなぜか読後に児童が挙手をしたり先生が名指ししたりして感想を言わせる教室に遭遇することがあります。

 

その感想の時間が用意されていると子どもたちが聴きながら一生懸命「何を言おうか」って考えてるのが表情からわかることがあるんですね。

 

大人が喜ぶ回答をしようとして必死に考えてくれる。

絵本や本の中身から、おぉ!って大人が思うような要素を一生懸命探そうとしてる様子が見て取れて、あぁもったいない…とモヤモヤしてしまうことがあります。

 

純粋に絵本を楽しんでほしいから

いろんな学校を巡りながら、教室の子どもたちの中には「ほめられる」ことがすごく大きな意味を持つタイプの子がいるのかも、というのが少し見えてきました。

 

感想を言って大人に喜んでもらう、ほめられる、という経験、姿勢を褒められて嬉しい頑張ろうと思う気持ち、それそのものを否定することはできません。その子たちにとって必要な栄養素みたいなものなのだろうとも思う。

 

でも、読み聞かせの時間にはそれはなるべく持ち込みたくないなぁ、と思うのです。

 

なにかに囚われて、めのまえの絵本そのものが楽しめなくなってしまっては意味がないんじゃないかなぁと。

 

しつけやお行儀の指導や自己肯定感の向上を含む子どもたちそれぞれへのケアはその場限りのボランティアの私たちが背負うにはちょっと荷が重いお仕事だし、役割と違う。

 

私が教室に行くのは、やっぱり絵本を楽しむ時間を提供したいから。

だからなるべく、それが叶う環境づくりを念頭におかねばならないなぁと。

一言の失言で1人の子が絵本を楽しめなくなっちゃうのは、やっぱりもったいない。

 

さて明日の読み聞かせの時間には何を持って行こうかなぁ…

6年生の教室、選書は高学年になればなるほどむずかしい。

クリスマスの本にするか、卒業を視野に入れたものにするか、いっそ落語とか笑えるやつにするか…

 

そういえば。

自他共に認めるヨシタケ信者の私、新刊が出ると聞いてワクワクしています。

なつみはなんにでもなれる

なつみはなんにでもなれる

 

 

ジョン・バーニンガムさんの絵本

読み聞かせボランティアをやっていてあちこちの方と知り合いになっていくと、普段通っている小学校以外のところから「ちょっと来られない?」というヘルプのお声が時折かかります。

 

別の小学校の朝の読み聞かせの時間だったり、公民館や図書館の絵本読みの日だったり、何かのイベントの出し物のお手伝いだったり。

 

今朝も、全校の教室に一斉に読み聞かせボランティアを入れたいけど人手が足りない、というご連絡をいただき急遽ちょっと離れた小学校に駆けつけてきました。

 

そうやって近隣のいくつかの学校に通っていて気づいたのだけれど、玄関を入ったところですぐに、学校によって全然違う雰囲気や空気を感じるんですね。

 

ピンと張りつめた空気を感じる学校もあれば、柔らかい雰囲気が漂っている学校もある。先生方の声がどんなふうに聴こえてくるか、廊下ですれちがう子供たちがどんな表情をしているか、挨拶の声、歩き方…

 

面白いのは、校長先生が交替するとその雰囲気が突然変わることがあること。

それくらい、学校のトップである校長という立場が学校全体に与える影響は大きいんだろうなぁと思ったりします。

 

先生方のスペースから子供たちのいる教室に向かって、入り口に立つと、クラスごとの雰囲気もまた感じます。それを感じながら、今日はどの本を読もうかな、と考えます。静かに聴かせるものがよいか、突っ込みを入れる系のを楽しめそうか…

 

突っ込み系の本で好きなのがジョン・バーニンガムさんの「ねえ、どれが いい?」

ねえ、どれが いい? (児童図書館・絵本の部屋)

ねえ、どれが いい? (児童図書館・絵本の部屋)

 

 選択肢を提示して子供たちから返事をもらいながら進めていく絵本。

ストーリーが最初から最後へと繋がっている種類の本ではないので、時間がちょっと余ったときの穴埋めにも便利。

 

今日教室で読んだのは同じジョン・バーニンガムさんの「いつもちこくのおとこのこ ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー

 

これ、なかなか出会えない「小学校の全学年に持っていける絵本」だと思います。

低学年には突拍子もない事件に出会うところを楽しんでもらえる。

高学年には、先生や大人に対する理不尽や不満に共感するような内容として。

大人向けにも、理不尽に抗わず静かに絵本のなかにたたずむジョンの姿がじわりと心に残る内容です。

 

ジョン・バーニンガムさんの絵本、柔らかいイラストと押し付けがましくないけどふわっと琴線に触れるような内容がとても好き。

年月を超えて、いろんなタイミングで読んではそのときどきの感じ方ができる絵本が多いんじゃないかな、と思います。

 

おじいちゃん (海外秀作絵本)

おじいちゃん (海外秀作絵本)

 

 も有名な一冊ですよね。

「いつもちこくのおとこのこ〜」もそうですが、谷川俊太郎さんの訳も詩人さんらしい耳障りのよい日本語で、声に出して読むのが心地よい。

 

谷川さんといえばえこ (id:bambi_eco1020)さんが紹介されていた「これはすいへいせん」をやっとこ手に入れました。

先日5年生の教室で出したら「のみのぴこみたい!」と反応した子たちが。

これはのみのぴこ

これはのみのぴこ

 

つみあげうたの最後にぐるりと回る不思議な感じが大好きです。

 

ジョン・バーにガムさんの絵本のリンクを貼ろうと検索していたら見つけたこの絵本、タイトルと表紙だけでかなり気になってます。

エドワルド―せかいでいちばんおぞましいおとこのこ

エドワルド―せかいでいちばんおぞましいおとこのこ

 

 

ヨシタケシンスケさんの哲学シリーズを力技で読み聞かせに使う。

いやはや、久しぶりにこちらのブログを覗いてみたら3ヶ月も放置していました。

夏休みと運動会シーズンでどの学校でも絵本読みの時間がなく、行事続きで私自身も絵本から離れる時間が多い時期でもありました。

 

今日は、久しぶりの読み聞かせの時間で使ったヨシタケシンスケさんの本のこと。

 

ヨシタケさんの哲学シリーズ

新刊が出たら即買うほどのヨシタケファンを自称する私ですが、読み聞かせの時間によく使うのは読みやすい「もうぬげない」や「りゆうがあります」ばかり。

哲学シリーズ(と私が勝手に呼んでいる)の3冊は、なかなか教室での読み聞かせには使っていません。なぜなら、とても読みづらいから。

 

りんごかもしれない

りんごかもしれない

 

 絵本界に新風を巻き起こした(と私が勝手に思っている)この名著「りんごかもしれない」、平易な言葉と身近なりんごという素材を使っているのにどこまでも深い考察がこめられ、何度も繰り返し読みたくなってしまう一冊です。

 

そしてこれに追随する形で発売されたのが2冊目の「ぼくのニセモノをつくるには」

ぼくのニセモノをつくるには
 

 

先日メインブログ「スズコ、考える」でも紹介しました。

 

当たり前に把握しているようで実はあまりわかっていない、自分自身のこと。

それを言葉にしていく、振り返っていく、その過程について考えていく絵本です。

 

そして満を持して発売された3冊目が「このあとどうしちゃおう」

このあと どうしちゃおう

このあと どうしちゃおう

 

 私が先日教室に持っていった本です。

亡くなったおじいちゃんが遺した一冊のノートから、死ぬとは、生きるとは、と考えていく絵本です。

 

3冊とも、深い。とにかく深い。

でもタッチはとても軽い。

深刻に考え込むような内容のはずなのに、子供が笑いながら読めてしまう手軽さ。

 

響く子には響くし、そうでない子にも面白い本として楽しめる。そんな、多数向けの読み聞かせに必要な要素があるこの絵本を教室でも子供たちに紹介したい、と常々思っていました。

 

なぜ、読み聞かせが難しいのか

この3冊、自分で読むなら小学校低学年から高学年まで楽しめると思います。

学校の図書館に揃えているところも多いのではないかな。可愛いイラストで子供たちにも人気だと思います。教室に持っていくと「知ってる」と手を上げる子が半数くらいいるクラスもあるほど。

 

でも読み聞かせに使うには本当に難しい。

その理由は、文章ではない手書きの文字の多さです。

 

「りんごかもしれない」には「りんご」の近縁ではないかという設定で作者が想定した色々なりんごっぽいものが描かれ、それぞれに違う名前が付けられています。そのページの内容をしっかり説明するような文章は用意されていません。

 

「ぼくのニセモノをつくるには」にも「このあとどうしちゃおう」にも、同じようにぼくを説明するために箇条書きにされている部分やおじいちゃんが天国について想像したいろいろな可能性について、文章ではなく、小さめのイラストとそれぞれの名前や短い説明が添えられています。

 

全部読めない・全部見えない

限られた絵本読みの時間に、それぞれに書かれている文字を全部読むのはまず無理です。

そして、それをもし実行しても、絵の細部まで見えない子供たちにとってはつまらない時間にしかなりません。どこを指しているかもわからない状態で単語だけを言われてもわけがわからないでしょうから。

 

 

じゃあどうしちゃおう

考えました。どうしたら教室で楽しんでもらえるか。

3冊とも、前後には文章がメインのページが続いています。そこはそれを読めばいい。

問題は中盤の、ぼくやおじいちゃんたちが想像するあれこれを紹介する数ページです。

 

私が出した答えは、抜粋。

たくさんある中の、絵が大きめのいくつかを選んで、その部分だけを読む方法をとりました。そこだけ読んでも意味が分かりにくいので、「このあとどうしちゃおう」のおじいちゃんが想像した天国の部分だと「○○○『っておじいちゃんは想像してたみたい』」とか「○○○『とか思ったりしたんだね』」と子供たちに意味が伝わるように言葉を補っていきました。

 

「りんごかもしれない」はりんごの親戚紹介のページは絵が小さいので、黒板を使える教室ならいくつか抜粋して絵を描いちゃうのもありだなぁと考えています。

 

忘れちゃいけない、大事なこと。

全部は読めない、だからこそ興味を持った子には再度自分で手に取ってほしい。

学校の図書室にあるのか、地域の図書館にあるのか、事前にしらべて置いてどこに行けば読むことができるのかを知らせておけば興味ある子は自分で細部まで楽しめるんじゃないかな、と思います。

 

おまけ

この3冊を教室で読むのはちょっと難しいけど、

 

もう ぬげない

もう ぬげない

 

 

こちらの3冊は書いてある文章を読むのがメインなので教室でも読みやすいと思います。

特に「もうぬげない」は低学年から高学年まで、どこに持っていっても子供たちが喜ぶし、3分くらいで読めるので読み聞かせ用のバッグにいつも入れている1冊です。

サトシンさんという絵本作家さん

絵本作家のサトシンさん、といってもピンと来ない方も「『うんこ!』の作家さん」と言えばみなさん「あ〜〜〜〜」と仰います。このブログでもサトシンさんの『ま、いっか!』を紹介したことがありました。

 

うんこ!

うんこ!

 

 (読み聞かせに持っていくと必ずウケる絵本「うんこ!」低学年の男子はかなりの確率で「くっそーーー!」って一緒に言ってくれます。)

 

そのサトシンさんが先月、熊本震災被災地を巡る弾丸ツアーを敢行され、一日に何か所も回るなかの1ヶ所に子供たちを連れて参加してきました。

 

作品を読んでくださったり、それぞれの絵本についての解説や裏話を聴かせてくださったりと楽しい時間を過ごすことができました。子供たちもまだ読んでいない絵本を読み聞かせてもらったり、持参した絵本にサインをいただいたり、サトシンさんの持参されていたうんこ帽子を被って写真を撮ったり、サトシンワールドに魅了された数時間でした。

 

お話の中で、私がサトシンさんの絵本でなんかいいなぁと思っていたことをまさにご本人が仰っていたんです。結末があってちゃんとお話が終わってるんじゃなくてただおもしろいだけで終わる絵本があってもいいんじゃないの?って。大人が意図する終着点がない絵本が結構多いんです、サトシンさんの絵本。

 

子ども向けの絵本って教訓めいたお話だったり、こういうメッセージを受け取ってほしいなぁという大人側の下心が見え隠れするものだったりするの、結構多いなぁと思うんですね。指導のためにそれらを「あえて」読み聞かせること自体を否定するつもりは全然無くて、敷居の低いものを利用してメッセージを伝えやすくするためのツールとしての絵本というのも一つのあり方だと思う。

 

でもそういう結論ありきみたいな絵本ばっかりだとつまんないなぁ、と思っていた私にとってサトシンさんの、ただただおもしろいだけで本当におわっちゃう絵本の存在ってとても新鮮でした。

 

ただ新鮮だっただけじゃなくて、小さい頃に絵本を楽しんでいたときのような、一部に強烈な印象を持って何度も読んでいたりというような、絵本の持つメッセージ性ガン無視でただただ絵本を楽しめば良いと言ってくれているような絵本、それがサトシンさんの作品の中にはあるような気がします。

 

今日はそのなかで読み聞かせに使いやすそうな絵本をご紹介。

いぬが かいたかったのね

いぬが かいたかったのね

 

 まずはこれ「いぬがかいたかったのね」

「ツレがウツになりました」の細川貂々さんのイラストがかわいい絵本。

わらしべ長者のようにペットをだんだんととりかえっこしていって、最後には…

 

ページをめくるたびに新しい生き物が登場して、そしてだんだんエスカレートしていって、子どもたちがどんどん世界観に吸い込まれていくような絵本です。

 

テンポがいいといえばこちらも。「うそだぁ!」

うそだぁ!

うそだぁ!

 

 ほら吹きの男の子のうそがどんどんエスカレートしていく絵本、合いの手をいれるもう1人の男の子の「うそだぁ!」っていう台詞を一緒に言って〜って促すとみんな喜んで参加してくれます、こちらも低学年向けに好評な絵本。

 

最後はちょっと例外。結論っぽい絵はあるんだけど、触れられていない絵本。

ゆけ! ウチロボ! (講談社の創作絵本)

ゆけ! ウチロボ! (講談社の創作絵本)

 

「ゆけ!ウチロボ!」

こちらは少し年齢が上がった学年の子たちにも良さそうかなと思います。先日は5年生の教室で読みました。

男の子同士のケンカについてのお話。ひそひそ話の感じとか教室の雰囲気のリアリティがすごいなぁと思います。

 

この絵本、結末は絵本の中では語られていません。余韻を残した、ちょっとカッコいい映画のような最後のページの絵、ポスターにして飾りたいなぁとこっそり思うほど好きです。ちなみに絵を担当したのは『給食番長』のよしながこうたくさん。

給食番長 (給食番長シリーズ)

給食番長 (給食番長シリーズ)

 

 

よしながさんとサトシンさんのタッグは『でんせつのきょだいあんまんをはこべ』も名作ですね。 

でんせつの きょだいあんまんを はこべ (講談社の創作絵本)

でんせつの きょだいあんまんを はこべ (講談社の創作絵本)

 

 BGMに「地上の星」を流しながら読みたくなる一冊です。

こちらはオチはちゃんとあります、が教訓めいたメッセージ性はゼロです 笑

最後のページに添えられた註釈がサトシンさんの人間性が出てるな〜って感じがして好きです。

 

さいごにおまけ。

サトシンさん、NHKの「みいつけた」の中の「おてて絵本」を提唱されているご本人でもありました。あの放送でも流れていないところでサトシンさんご本人が子どもたちのそばでおはなしを引き出す声かけをされているんだそうです、知らなかった〜!

おてて絵本普及協会

きいてね!おてて絵本

きいてね!おてて絵本

 

 

 

最近気に入っている絵本いろいろ

「このあと どうしちゃおう」

先日、こっそり(でもないか)公開しているほしいものリストよりまた一冊絵本が届きました。

敬愛するヨシタケシンスケさんの新刊

このあと どうしちゃおう

このあと どうしちゃおう

 

 

亡くなったおじいちゃんの残したノートの表紙に書かれていたのは「このあとどうしちゃおう」という文字。ノートの中に描かれていた、死を前にしたおじいちゃんの色んな気持ちに、ぷっと笑ったり、いろいろ思い出してじわっときたり。

 

子供にとっての死、大人にとっての死、年寄りにとっての死……

子供たちが小さい頃に義父を亡くした私にとっても色々と考えさせられる内容。ヨシタケさんのこの手の哲学シリーズ(「りんごかもしれない」「ぼくのニセモノをつくるには」)は絵の註釈のような細かい描写が多いので教室で大人数での読み聞かせに使うには少し読みづらいかもしれませんが是非子供たちにゆっくり、何度も読み返してほしい本。図書室に入れてもらえるよう司書の先生にかけあってみようと思っている一冊です。

りんごかもしれない

りんごかもしれない

 
ぼくのニセモノをつくるには
 

 

「ま、いっか!」

「うんこ!」で子供たちにおなじみのサトシンさん。サトシンさんの名前を覚えてない子たちにも「『うんこ!』描いた人だよ」と言うとみんな「あ〜〜〜!」っと声を上げるほど。

 

そんなサトシンさんの作品のなかで私が一番好きなのが「ま、いっか!」

ま、いっか!

ま、いっか!

 

 主人公はその名も「テキトーさん」、実写化するなら高田純次さんしかいないんじゃないかと思わせるその適当すぎるキャラクター。失敗を繰り返して、それでも「ま、いっか!」と前に進み続けるテキトーさん。

 

これ、発達障害の知識がある方が読むと注意欠陥の特性が見えるのは仕方がないことなのかもだなぁ。「ま、いっか!」という言葉は、同じように注意欠陥が強く忘れ物や失敗をしやすい私が意識して出す言葉でもあります。失敗したらそのダメージをずっと引きずってしまいがち、そんなときに呪文のように「ま、いっか」「しょうがないね」「次があるよ」と自分に言い聞かせることがあります。

 

学校のなかでは、失敗を「ま、いっか」って流さず次への学びに反省に、と強いられているように見える子供たち。でもそればっかりだとしんどいよね。どう頑張っても難しいこと、どうにもならないことは「ま、いっか!」って流して次に進んでもいいんじゃないかなぁと、おばちゃんから子供たちへのささやかなメッセージを込めて。

 

ページをめくるごとに「ま、いっか!」って言葉が出てくるので子供たちもだんだん一緒に言ってくれるようになったりします。先日の読み聞かせでは最後は「せーの」でクラス全員で「ま、いっか!」でおしまい、でした。

 

文字が多い絵本ですが時間としたら8分ほど、あまり長くありません。

内容も難しいものではないので低学年から楽しめると思います。高学年だとノリのあまりよくないクラスだと読み方によってはしらけてあまり響かないかもしれません。

 

同じような前向きな絵本として有名なのは「ねこのピート」シリーズかな。

ねこのピート だいすきなしろいくつ

ねこのピート だいすきなしろいくつ

 
ねこのピートだいすきなよっつのボタン

ねこのピートだいすきなよっつのボタン

 
ねこのピート はじめてのがっこう

ねこのピート はじめてのがっこう

 

アメリカではたくさんシリーズが出てるけど日本で翻訳されてるのはまだこの3冊みたい。最後のページに簡単な楽譜が付いてるので、一緒に歌うのも楽しい絵本です。 

 

「とりになったきょうりゅうのはなし」

科学系の絵本で最近のお気に入りはこれです。

とりになった きょうりゅうのはなし (かがくのとも絵本)

とりになった きょうりゅうのはなし (かがくのとも絵本)

 

大人がゆっくり読んで5分ちょっとくらいの短い絵本ですが、さすが福音館、な丁寧な起承転結、かがくのとも絵本らしい丁寧な言葉選び。

 

科学系が好きそうなにおいのする教室にいったときに選ぶ絵本です。低学年から高学年まで、どの年齢の子に対しても使えるんじゃないかな。 

 

この絵本の良いところは、恐竜が現存する鳥にリンクしていくところ。恐竜がとても好きな子とそうでない子の知識や関心の落差はとても大きく、興味がある子はよく知ってるけどまったく関心のない子も教室の中にはたくさんいたりします。そんな子たちにとって「恐竜の絵本」というと興味のないつまらないものに感じられるかもしれませんが、読み進めていくうちに自分たちの日常生活のなかにいる身近な鳥たちの絵が出てきます。6500万年前に絶滅して自分たちには無縁だと思っていた生き物が、実は今もこの地球上で生き続けている、教室の外でいま鳴いているあの鳥も元は恐竜だったのかもしれないよ、というと途端に子供たちにとって恐竜が身近なものになっていく、そんな発見に繋がる絵本です。

 

時間があまったときは絵本のなかに出てくる鳥の話をします。

挿絵に出てくるヒクイドリ、「見たことある?」と聞いて手を挙げる子はあまりいません。調べてみたら日本でも数カ所の動物園にしかいないみたい。近くで見られる場所を伝えて、興味があったら行ってごらん、ヒクイドリを見ると「この祖先が恐竜だったのか」というのがよくわかる骨格や足の形をしているよ、と話したり、教室の窓から見える猛禽類や羽毛が綺麗なオシドリの話をしたり。

 

恐竜の絵本はたくさん出ているけど、まずお勧めな一冊です。

 

おわりのおまけ

毎回絵本バッグに入れておいて時間がちょっと余ったね、ってときに読む一冊が「もうぬげない」

もう ぬげない

もう ぬげない

 

 3分くらいで読める短い絵本ですが子供たちに人気です。

低学年なんてパンツが見えたところでもうそれだけでどっか〜んです。平和だなぁ。

 

今日は最近のお気に入り数冊ご紹介でした。

子供の通う学校でボランティアに参加し始めたらあちこちから声がかかり始めて市内の学校あっちこっち呼ばれて行くようになって、学校ごとの雰囲気やカラーの違いも見えてどんどん面白くなってきているスズコです。

「ほしいものリスト」から絵本が届いた日

昨日の午後、ちょっといろいろあって凹んでいたところに配送業者さんがやってきて、Amazonの荷物を2つ、受け取りました。

1つは私が自分で頼んでいたもの。もう1つはなんだろう、と包みを開けたら先日公開した「スズコのほしいものリスト」に入れていた絵本が2冊。

初めてのことだったのでとてもビックリして包みの中を色々と見ましたが、贈り主がどなたかわかるものは入っていないようでした。

 

 

いただいたのはこの2冊

たこやきのたこさぶろう: ぴっかぴかえほん

たこやきのたこさぶろう: ぴっかぴかえほん

 

 

そりゃあもう いいひだったよ: ぴっかぴかえほん
 

 

どちらも小学館から今年の始めに刊行された「ぴっかぴかえほん」シリーズのものです。

 

気持ちが沈んでいて、最悪だ…とどん底に落ちていた心境のときにちょうど目に入った「そりゃあもういいひだったよ」というタイトル。ぬいぐるみのクマがいろいろな小さなうれしいを綴っている絵本を開いて、目の前のしんどいことにとらわれて周りが見えなくなっている自分が情けなくなってきました。

 

今日を「絵本が届いたいい日」にしたい。

 

そう思って、気持ちを沈ませていた原因について打開するための手を打とうと重い腰を上げることができました。私にとっては一つの転機になった絵本、大事にします。ありがとうございます。

 

さて、今日は届いたばかりの2冊を含む数冊を手に5年生の教室にお邪魔してきました。

 

まず、たこさぶろうを。

 

次に、マック・バーネットさんの「サムとデイブ、あなをほる」を。

サムとデイブ、あなをほる

サムとデイブ、あなをほる

 

 

そして、荒井良二さんの「そりゃあもういいひだったよ」を。

 

実は読み聞かせを始める前に少し気になることが教室で起こりました。

恐らくは多動の特性がありそうな男の子が一人、開始前に教室をうろつきながら私に話しかけてきておしゃべりをしていました。そこへ後ろから別の男の子がその子の特性を揶揄するような発言をし、私と話していた男の子はそれに怒ってその子に手を挙げようとしました。実際に触れたかどうかは確認できない程度でしたが、やられた方の子も揶揄を続けて、お互いに言い合いになっていました。教室の後ろから担任の先生が入ってくると、揶揄していた子たちは黙ってすっと席に着いたのでそのまま進めましたが、言われた方の子は落ち着かない様子でぶつぶつと文句を言い続けていました。

 

「そりゃあもういいひだったよ」を読み終えたとき、毎日の中で意識しないと気づかないけどうれしかったなぁって思うことがあることあるよね、って言ったら、その子が「いいことなんてないよ」と言ったんですね。「毎日いやなことだらけだ」と。

 

恐らくは発達障害だろうその子が、どんな毎日を送っているのかとても気にかかりました。そしてその子の周りの子たちが、どんなふうにこの子との学校生活を受け止めているのかも、気にかかりました。

 

私はただの読み聞かせボランティアで、彼らのそこには踏み込めません。

 

そうだね、いやなことばっかりのこともあるよね。おばちゃんも昨日とてもいやなことがあってね、でもそのときに突然欲しかった絵本が届いてとてもうれしかったのね。と絵本を贈ってもらったことを話したら、子供たちも興味津々で聞いてくれていました。

 

些細なことをうれしいと思えるといいねってこと、小さな綺麗な小石をひろったり、トンビ以外の猛禽類を見つけたり、風が気持ちよかったり、誰かがちょっと優しくしてくれたり。

 

いやなこともいっぱいある毎日だけど、うれしいことを見つけたときにその日が「そりゃあいいひ」になることもあるかもしれないなぁ。そう思えるような、そんな家庭環境が、そんな学校生活が、子供たちみんなに用意されていたらいいのになぁ、とそんなことを思いながら、5年生の教室を後にしました。

「よみきかせ」だけど、踊ろう!

今日は「踊れる絵本」のご紹介。

本当は真冬に紹介したかった本なのだけど、更新をサボっていてもう春がそこまで来てしまいました…

 

でも先日の読み聞かせの日は小さな雪がちらつく寒い寒い朝だったので、この本を持って教室へ。

だいおういかのいかたろう (ひまわりえほんシリーズ)

だいおういかのいかたろう (ひまわりえほんシリーズ)

 

2人組の絵本作家、ザ・キャビンカンパニーさんの「だいおういかのいかたろう」。独特の作風で描かれる絵が印象的な絵本です。この絵本、なにがいいって「踊れる」んです。

寒い冬に湖で凍り付いてしまったいかたろうをこどもたちが助けるお話。お礼にといかたろうが教えてくれるのが、イカダンス。

 

ゆっくり読んでも時間は5分くらいで終わるお話なのだけど、後半にはさまっているイカダンスのページになったところで「よし、一緒におどろう〜〜〜!」と立って広がってもらって。

 

ダンスは簡単。歌も抑揚があまり無く難しくないしゆっくり踊れてふりも覚えやすいので、1回やれば子どもたちはすぐに自分のものにしてしまいます。

 

キャビンカンパニーさんたちのすごいところはこれ…

 


いかたろうのイカダンス

 

イカダンスの動画があるんです。作家自身が動画を自作して発信しているという新しい取組み…じゃないかなぁ。

この中で作者の阿部さんと吉岡さんがアトリエにしている由布の小さな廃校の前で実際にイカダンスの解説をしてくれるというなんとも豪華な。

 

動画で予習していけば読み聞かせの場でもばっちり踊れる、はず。

ぽっかぽっかしてきた♪ のところで頭をポカポカなぐる仕草をするようアドバイスするのがポイントです。あとは決めポーズをかっこ良く!

 

先日の一年生の教室では時間が少し余ったので3回くらい子どもたちと踊ってみんなでポカポカになって大笑いしました。幼児や低学年はめっちゃ食いつくと思います。

 

キャビンカンパニーさんの絵本×動画コラボは他にも

 

はみがき あわこちゃん (ひまわりえほんシリーズ)

はみがき あわこちゃん (ひまわりえほんシリーズ)

 

 「はみがきあわこちゃん」のはみがきマーチ(これは何が秀逸って、動画が3分間あるんです。家で歯みがきをするときにこの動画を流せば終わりまでに3分きっちり磨けてしまうという!素晴らしい!)


あわこちゃんの はみがきマーチ

 

ほこほこのがっこう

ほこほこのがっこう

 

「ほこほこのがっこう」の校歌、など…。 


ほこほこのがっこう 校歌

 

絵本の世界と音や映像がリンクしていく、自分も一緒に踊れる、一緒にはみがきできる、一緒に歌える、という素敵な仕組み。

 

一緒に歌える、というコンセプトだと

ねこのピート だいすきなしろいくつ

ねこのピート だいすきなしろいくつ

 

 「ねこのピート」も譜面が巻末についていて「歌える」絵本だなぁと思います。

この絵本は同じメロディで歌詞を少しずつ変える形でお話が進んでいくので、最初は読み手だけが歌っていてもだんだん子どもたちも一緒に歌い始めたりすることも。

 

子どもたちの中には「おはなしのときは静かに」って指導されているのを守ろうとして制してくれたりするケースもあるので、その辺は場の雰囲気やクラスの空気に合わせて臨機応変に対応してます。あちこちで歌い始めて収集がつかなくなりそうなときも、すこし間を空けてから大きめの声で次の言葉を出すとすっと静かになったりも。

 

ずっと静かにして一方的に聴かねばならない、っていうのは私もなんだか堅苦しくてしんどくなってしまうので、歌ったり踊ったりしながら楽しい時間を作るには…とよくあれこれ探しています。